Stop CKDを目指す私の診療戦略を語るにあたり、
ご挨拶申し上げます
一般社団法人日本透析医学会の日本透析医学会調査統計委員会は、透析療法なしには生命の維持が困難な末期慢性腎臓病患者さんに関して調査し、そのまとめを1968年から今日まで毎年、調査報告しています。
それによると、維持透析療法が必要な患者さんの年間総数は2023年末で331,039名であり、そのうち2023年の1年間に透析療法を開始した慢性腎臓病患者さんの数は約1割の38,764人ということでした。この数字は、これまでの統計結果と異なった傾向を示していたので、実に大変な驚きをもって迎い入れられているのです。というのは、2020年の透析療法を開始した慢性腎臓病患者さんの数は40,744名でしたから、これまでの趨勢と異なり維持透析の開始を必要とする患者さん総数は少しずつですが、減ってきていることを示しているのです。
確かにSGLT2阻害薬、 GLP-1受容体作動薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬新薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン、免疫複合体の形成を抑制する抗体医薬、扁桃腺摘出+副腎皮質ホルモンパルス療法などの治療法の開発されました。これらのことが下記の図に示すからの報告で明らかなようにのように、糖尿病に関連する腎臓病を併発した患者さんや慢性腎炎、多発嚢胞腎から末期慢性腎臓病に至った患者さんの数は減ってきているのです。確かに、このことは私の日常外来でも感覚的に知ることができています。
しかしながら、安心はできません。なんと、腎硬化症による末期慢性腎臓病患者さんの数は逆に徐々に増えて、2023年が38,764名(平均年齢71.59歳)中、19.3%と算定されているのです。そして、その基盤病態が加齢現象であるがゆえに止む無しとして受け止められているの現状があるのです。
しかしながら、私の佐中外来は違います。Drサナカ外来では私自身が数え年「傘寿」であるという事実は兎も角として、来院する患者さんの高齢化は他と比較して進んでいると言っても過言ではない程でありながら、腎硬化症による慢性腎臓病のために新たに透析療法に至っている患者さんは一昨年、昨年、2023~2024年ゼロという事実を作り出すことが出来ているのです。
今年も腎硬化症に対するStop CKD(慢性腎臓病)は順調でした。
これらの事実は私自身がCKD分子栄養療法®と命名した食事療法を基盤とした運動療法、日常生活に加えて、最新薬の選択の成果と考えています。
そこで、ここに、あらためて、私が組み立てた治療戦略纏めて紹介、公開させていただきます。
本日、これから紹介する患者さの経過をあなた自身のそれと比較してみてください。
この患者さんはDrサナカ外来においでになる前のeGFRは54.7(G3a)から39.0ml/min (G3b)に進行性に低下していました。1年あたり5.2ml/minの低下ですので、6年後には透析療法の開始を意識しないといけない程でした。しかし、 Drサナカにお出でになって、4年を経た時点では42.0ml/min (G3a)と改善、Stop慢性腎臓病が実現できています(図1)。嬉しいことに、当分、透析療法の開始を意識する必要はなさそうです。患者様に大変喜んでいただき、今日に至っています。
eGFRは血清クレアチニン値、年齢、性別係数をもとに計算式によって求められ、腎機能の評価に用いられます。
その値によって、慢性腎臓病の重症素を知ることが出来ます。
(図1 腎硬化症)

この患者さんはDrサナカ外来においでになる前のeGFRは55.0 (G3a)から28.7 (G4) ml/minに進行性に低下していました。 1年あたり8.7ml/minの低下ですので、2年後には透析療法の開始を意識しないといけない程でした。 Drサナカ外来にお出でになって、9年を経た時点では33.8 (G3b) ml/minと、Stop慢性腎臓病どころか改善傾向さえも実現できています(図2)。勿論、透析療法開始の心配は当面、必要ありません。
(図2 腎硬化症)

この患者さんはDrサナカ外来においでになった時のeGFRは54.2(G3a)ml/minでした。間もなく従来通りのCKD治療が実施され、約4年間は低下傾向もなく、安定的な経過を示していましたが、その後の1年ぐらいでeGFRは進行性に低下し、受診が不規則な時期もあり、eGFRは36.0 (G3b)ml/minに低下してしまいました。1年あたり1.7ml/minの低下です。そこで、初診から12年目頃にあらためて、私の外来にお出でになりました。それまでの後の経過を図3aで示させて頂きます。
Drサナカの外来に再診後2年間はeGFR34.8ml/minを維持していましたが、その後再び低下傾向となり、再診から5年後には27.4ml/minと、年間1.1ml/minの低下を示していました。ここで(⇩)、改めて、Stop慢性腎臓病へのDrサナカの策を施していただきましたところ(図3a~b) 、この時点から7年を経た今日、 31.2ml/minを示し、GFRの低下速度は年間わずか0.07ml/minの低下にとどっています。ここでもStop慢性腎臓病を実現できているのです(図3b)。
高血圧に悩みましたが、減塩を励行した患者さんです。
この患者さんもeGFR55.7ml/min (G3a)から年あたり13.5ml/min の低下となり、1年半で透析療法が必要になる可能性がある28.7ml/min(G4)に低下し、 Drサナカの外来においでになりました。早速、Stop慢性腎臓病に対するDrサナカの策を提案させて頂きました。患者さんも率直に応えて下さいました。その結果、 患者さんの努力もあって、1年あたりのeGFRの変化は0.55ml/minの上昇という想像以上の効果を得ることができています。9年を経た時点でみると、34.0ml/min(G3b)という、従来からの一般的な認識にある「慢性腎臓病といえば、進行性低下」という状況を脱して、文字通りのStop慢性腎臓病を実現できているのです(図4)。
略歴 顕彰
1998年~2011年:東京女子医科大学医学部教授
2006年~2008年:和洋女子大学家政学部教授
2009年~2011年:東京女子医科大学先端生命医学研究所 教授(兼務)
2009年~2012年:日本大学医学部(客員教授)
2011年~2013年:医療法人社団靭生会メディカルプラザ篠崎駅西口 院長
2013年~2024年:医療法人社団靭生会メディカルプラザ市川駅 院長
2025年2月:医療法人社団靭生会メディカルプラザ篠崎駅西口 名誉院長
2010年~2024年:一般社団法人生活習慣病コーディネーター協会代表理事
2018年~現在:一般社団法人ヘルシーエイジング学会 理事長
2023年2月 公益財団法人腎臓財団褒章 功労賞授与
2025年7月 公益財団法人医療機器センター褒章 功労賞授与







